誘惑のクラン(血族)
「喉が渇きやすいとか、些細なことでもいいんだけれど」


「どうしてそんなことを? いつもと同じです」


足首に置かれたタオルが外され、もう一度濡らして同じ場所に置かれる。


黙り込んでしまった優真を見て、璃子も黙ってすらりと長い、まるでピアニストのような指を見ていた。


優真さんは変な質問をする。


どうしてなのだろう。


長く美しい指。


同じ人間の血が流れているとは思えないほどだ。


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