誘惑のクラン(血族)
こらっ、落ち着け、璃子。


目の前の優真があまりにも素敵だから暴れる心臓が止まることを知らない。


ううーっ、急に意識し始めちゃった……。


「あ、あのっ! 私は部屋にも、戻ります!」


すくっと立ち上がる璃子を澄んだ瞳で見上げる優真。


「璃子ちゃん……なにか君を怖がらせてしまったかな?」


いやー、なんでそんなことを聞いてくるの? 私が勝手にテンパっているだけなのに。


「そ、そんなんじゃないです! なんか……優真さんといると胸がドキドキ、っていうか緊張してしまって……ごめんなさいっ」


璃子はもう言葉を続けていられずに、痛む足首もかまわずに部屋を出た。


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