誘惑のクラン(血族)
脱兎のごとく逃げて行くその後ろ姿を目で追う優真は、璃子の姿が見えなくなると形のいい唇からため息が漏れた。


緊張か……おそらく、璃子ちゃんの身体の中に潜んでいるヴァンパイアの血が影響させているのだろう。






2階の部屋に戻った璃子はポスンとふかふかのベッドの上に座った。


「イタタタ……」


夢中で階段を駆け上がってしまい、足の痛みに今さら後悔している。


「あの魅力は毒でしょう……」


もっと一緒に居たかった……けれど、胸が痛いくらい暴れて声も上ずって……。


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