誘惑のクラン(血族)
「……優真さんにきっと彼女がいるんだろうな。あんなにステキな人なんだから」


璃子の脳裏に優真と同じく洗練された女性が思い描かれる。


「だめだめ! 私ってこんなに惚れっぽいんだ……」


大きく頭を振った時、美菜の呆れた声がした。


「なにひとり言、言ってるの?」


「あ!美菜」


興味津々な笑みを浮かべた美菜は璃子の隣にドスンと腰を下ろした。


「優真さんと散歩入って来たんでしょ? って、その足どうしたのっ?」


璃子の足首に巻かれた包帯が目に入った美菜がギョッと目を見張って言う。


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