誘惑のクラン(血族)
「お昼寝って、まだ10時だよ?」


「いいの、いいの。璃子だってバイトで忙しかったんでしょう? やることがないんだから、睡眠とってお肌を元に戻さなきゃね。夜になって涼しくなったら散歩でもしようよ」


言いながらドアに向かう美菜。


「あ! 美菜! 夜はダメなの」


「え?」


ドアの取っ手を掴んだまま、美菜は振り返った。


「優真さんが昨晩、言っていたの。数日前にヴァンパイアの事件があったって」


「ええっ! ここもそんな事件があったの?」


ヴァンパイアが人を襲う事件はそれほど多くないが、事件は東京で起こることが多く、まさか信州の避暑地でそんな事件があるとは思ってもみなかった。


「うん。だから気をつけないとね」


< 58 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop