誘惑のクラン(血族)
「そうなんだ。じゃあ、車の中で一晩過ごさずに済んで本当に優真さんには感謝だね?」


美菜がキレイにメイクした眉に弧を描いて笑う。


優真さん……。


「うん。感謝だね」


「じゃあ、寝るのはもったいないか。璃子は部屋で休んでてね? 私はリビングでゲームしながら碧羽くんが現れるのを待ってるからっ」


美菜はスキップしかねない勢いで部屋を出て行った。


部屋で休んでいても、優真さんのことをいつの間にか考えてしまう。


こんなことなら、美菜と一緒にリビングにいれば良かった。


物おじしない美菜の性格が羨ましいな。


私も美菜のようだったら、優真さんと気の利いた会話をして楽しい時間を過ごせるのに……。


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