誘惑のクラン(血族)
「も、もちろんですっ!」


慌てて床に足を下ろした途端に、ズキッと痛みが走った。


「い……たっ……」


しゃがみ込むほどではなかったが、思わず声を発した璃子に優真が近づき、すくうように抱き上げた。


「ゆ、優真さんっ!大丈夫です、下ろしてくださいっ」


「いいから。歩かせて悪化したりでもしたら申し訳ないからね」


「でも、さっきも……階段もありますし……」


「大丈夫。落とさないから安心して」


その言葉の通り、優真は危なげなく璃子をお姫様抱っこしたまま階段を下りていく。


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