誘惑のクラン(血族)
「いけね」


碧羽はイスから下りると、割れたガラスを拾おうとした。


璃子も立ち上がって手伝おうとした時、碧羽が割れたガラスの破片から手を引っ込めた。


「っ!いってぇ……」


「大丈夫っ?」


近づき見ると、碧羽の左手の人差し指から血が出ていた。


指先にぷっくり溜まる鮮血。


それを見た瞬間、璃子の心臓がドクンと大きく波打ち痛みを覚えた。


呼吸が苦しくなり、両手を首にもっていく。


「あ~! 大丈夫? 碧羽くんっ」


璃子の後ろから美菜が声をかける。


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