誘惑のクラン(血族)
「あ、あの?」


璃子は驚いて苛立たしげに声をあらげ、眉をしかめる優真を見た。


「璃子ちゃん、なんでもないんだ。行って」


璃子の驚いた顔を見て、優真はハッとしたような表情になり柔らかく言った。


頭を咄嗟に下げた璃子は、美菜の手を取りその場を離れた。


優真さん、大丈夫なのだろうか……。


招かざるお客様って感じだったけれど……。


階下を気にしつつふたりは2階へ上がり、美菜はそのまま璃子の部屋に入った。


ベッドの上に腰掛けると、ふたりは同時に溜め息を漏らした。


璃子は優真を心配し、思わず漏らしたため息。


「美菜、ため息吐いてどうしたの? 優真さんが心配の溜め息?」


璃子は美菜の溜め息の理由がわからず聞いた。


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