誘惑のクラン(血族)
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「こんな所にまでなぜ来た?」


璃子たちに対して話すような柔らかい口調ではなく、静かだが鋭く問う優真。


相手は招かれざる訪問者ふたり。


ふたりの前ではイライラを隠そうともしなかった。


「優真様のご判断が鈍られていらっしゃるようなので、ご忠告に」


黒髪にグリーンの瞳をもつ崇(たかし)が口を開く。


「まさかあの小娘を半純血種にしようだなんて思っていないよな?」


そう言うのは璃子たちを見て『美味しそうなエサ』と言った赤毛にグリーンの瞳をもつ彰。


「情報が早いな。スパイをこの屋敷に紛らせているのか?」


優真は更に眉間の皺を深める。


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