誘惑のクラン(血族)
「尚哉様は血気盛んで、あの方が長になれば争い事は常に起こるでしょう」


崇はどうやら長である優真の祖父に説得するように頼まれてきたようだ。


一方、一緒に来た彰はふたりの会話を楽しげに聞きながら、ワインを飲んでいる。


「長がお心を決めるまでどうか常識ある行動を」


崇が何を言いたいのかわかる。


ヴァンパイアのニューボーンになってしまう璃子を放ってほけと言っているのだろう。


優真が長になるということは、祖父の決めた女と子供を作ることも入っている。


純血の血を絶やさないためだ。


「香織(かおり)様はここへ来たそうだったぞ」


ワイングラスをテーブルに置いた彰が思い出したように笑う。


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