誘惑のクラン(血族)
「もちろんでございます。ですが、尚哉様が動き始めたと聞いております。どうか私達をお傍に……」


ガードが固く長に忠実な崇より、呑気でわが道を行くタイプの彰の方がわかりやすい。


優真はソファで寛ぐ彰を見る。


「……わかった。だが、この屋敷に滞在することは受け入れられない。どこか家を探すんだな。ここにあと1週間いるつもりだ」


「えー! ここはダメって、俺あの子たちと仲良くなりたいな。食欲も満たしてもらえるし」


彰の言葉に優真は眉根を寄せた次の瞬間、彰の頬に一筋の血が滲んでいく。


「あの子たちに手を出すのは許さない。いいな?」


「……わかりました。よそで満たしてきますよ」


悪びれた風もなく、彰はにっこり笑うと立ち上がった。


崇も立ち上がり、ふたりはゆっくりとした足取りで出て行った。


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