誘惑のクラン(血族)
璃子は金縛りにあったように、身体が動かせなくなった。


頭がぼんやりとして、音羽に撫でられて気持ちがいいと感じるだけ。


「ヴァンパイア……イクって……?」


「あら、あなたはバージンなのね。だから美味しそうな匂いを漂わせているのね」


つつーっと指先が璃子のうなじを滑る。


「お兄様の判断が鈍らないように私が――」


その時、ドアが大きな音をたてて大きく開いた。


その途端に、璃子は身体の自由を取り戻した。


「音羽!」


ドアに片手を置いたまま、音羽を睨みつける碧羽だった。


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