誘惑のクラン(血族)
「彼女に手を出すんじゃない!」


璃子は碧羽の言うことに耳を疑った。


手をだすんじゃない。って……?


私、今なにを?


碧羽に邪魔をされた音羽は美麗な顔からは想像がつかない舌打ちをした。


「あら、残念」


碧羽から咎められているのだが、音羽は気にした様子もなく肩をすくめて部屋を出て行った。


璃子はなにがなんだかわからないまま閉まるドアと碧羽を交互に見る。


「碧羽くん、音羽ちゃんが今変なことを……」


つかつかと璃子に近づく碧羽は、スッと眉間に皺が寄る額に指を置いた。


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