誘惑のクラン(血族)
ひとりトランプで遊んでいた碧羽(あおば)は手を止め、ソファに座っている腹違いの兄 優真(ゆうま)を見た。


「人間が入って来たね」


つまらなそうにカードを切っていた碧羽の顔に楽しそうな笑みを浮かぶ。


「どうして人間が入って来るのよ。特殊な能力がない限りここへはやって来られないわ」


双子の妹 音羽(おとわ)は、楽しそうな碧羽とは対照的にキレイに整った眉を寄せる。


優真はそんなふたりを見てワイングラスをテーブルに置いた。


「私の客だ。お前たちはいつも通りにしているんだ」


立ち上がると、優雅な足取りでドアに向かう。



< 9 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop