誘惑のクラン(血族)
「今のはなんでもない。忘れて」


「……はい」


璃子の身体がぐらりと揺れ、シーツの上に人形のように倒れた。


碧羽は記憶を操作し、眠らせたのだ。


「まったく音羽もめんどうなことをしてくれる」


碧羽はふぅと息を吐くと、璃子の身体を動かしタオルケットをかけた。


これが兄さんにばれたら音羽はお仕置きだろうな。


さて、告げるべきか。


そこへドアの向こう、廊下でパタパタとスリッパの足音がした。


碧羽はカーテンの後ろに身を忍ばせた。





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