キミがいれば
「練習試合の事なんすけど」
「コーチは来てくれてるんだろ?」
「あー…光…町口コーチですか?」
「コーチは一人しかいないだろ」

なんだよ。
いつも光輝君に任せやがって。
顧問はお前だろうが。

光輝君だって忙しいんだよ。
お前と違ってね。

「練習試合だから、勝ち負けはそんなに関係ないぞ」

だから…俺はそんな事聞いてるんじゃなくて。

「俺は忙しいんだ。練習、頑張れよ」

何が忙しんだよ。
さっきまでコーヒ飲んで、菓子をつまんでたじゃんか。

ってか副顧問って誰なんだよ!?
聞いた事も見た事もない。

この部、大丈夫か?
今更不安になってきた。

職員室から出ようとした俺を桜井が引き止める。

「待て、宮野」
「…なんすか」
「この前来たぞ」
「何がっすか」
「マネ希望の子。恥ずかしいのか、体育館に行くのが怖いのか知らんが一年の…名前は忘れたが、可愛い子だったぞ」

名前、忘れんなよ。
分かんねえじゃん。
ホント役立たずだな。
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