キミがいれば
「ここ初めて入ったかも」

案内された資料室はほこりっぽかった。
暗いし、汚いし、先生は一体何の資料を探してるんだ?

先生って何の教科教えてんの?

「これこれー。この資料なんだけどー」

確かに先生の求めている資料は高い位置に挟まっていた。

「これでいいんですか」

正直俺でも届かないかもしれないと焦ってしまった。

改めて自分の身長の無さに軽く落ち込んだ。

「ありがとう」

俺は取ったものを先生に渡すと、先生はニッコリ微笑んだ。

いつもニコニコして愛想つかしてりゃいいのに。

口元を緩ますと、先生は幼く見える。

ただでさえ幼く見えるのに…。


「時間…大丈夫?」
「あ…もう購買は無理に近いっすね」
「なら、私のお弁当食べる?」
「…いいんすか」
「待っててね」

駆け足でどこかに向かう先生。
その姿は中学生みたいだった。
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