キミがいれば
「あ…思い出した…。なー新太郎!」

俺の声聞こえたかな…。
新太郎はボール磨きのまっさい中。

相変わらず新太郎は、マイボールだけは大切に手入れしている。
そのおかげでボールは毎日ピカピカ。

欠かさずボールに話しかけながら磨く新太郎は、ちょっと可愛い。
「今日もありがとさん。明日もよろしくね」だってさ。

思わずその光景に笑えてくる。

「新太郎!」

二回目の呼び出しでやっと俺に気づいた新太郎。

「なんやー?」

間抜け顔で答える。
手には離さずにボールがあった。

「言い忘れてたんだけど、マネ希望の子が桜井の所、来たらしい」
「は?まじかよ!?」

さっそく俺の言い出した話題に新太郎は飛食らいついきた。

「可愛い?可愛い?」

と、可愛いかどうかの一点張り。

「見たことねぇし、桜井、名前覚えてないってさ」
「はー?それじゃ意味ないじゃん」

新太郎、良いことを教えてやろう。
マネ希望の子はな…

「でも、可愛いらしいよ。桜井が言うには」
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