キミがいれば
「…美奈…だよな?」

すぐに冷静になる光輝君。

そういうところが大人だなって思う。

「そうだよ…もう忘れちゃった?」

二人の会話は続く。
まったく理解できない。

俺だけではなく、周りの部員たちも頭の上にハテナマークを浮かべて。

それでも、皆の視線は変わらず。

「忘れてない…。久しぶりだから…びっくりしただけ」

光輝君は気まずそうに美奈から視線をずらす。

完全には泣き止んでない美奈。

「どうして…?」
「……」
「どうして何も言ってくれなかったの?」
「…それは…」

俺の推測だと…美奈と光輝君は元恋人だった…とか?

まーあり得ないだろうな。
だって美奈は高校生だし。

「番号も変えて、連絡もなくて、ずっと…」
「ここに行く事になったって先生から聞いただろ?」
「先生じゃなくて!光輝本人からききたかったの!」
「仕方ないだろ、仕事なんだし」
「でも…!」

もしかしたら俺の予想は当たってるのかもしれない。

元恋人が曖昧な終わり方したみたいな会話。

多分部員たちも考えてるだろうな。
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