キミがいれば
「悪りぃ~」
「それ二度目」

俺がツッコむと光輝君は笑顔になった。

なにもなかったような表情。
絶対なんかあったのに。

でも、俺は何も聞かなかった。

そこまでして知りたくないし。

「…美奈は?」
「もう帰らせた」
「分かったー。おーい皆コーチの前に集合!」

と、言うと部員達は駆け足で走ってくる。

「コーチ、一言お願いします」

一礼して、光輝君が真ん中に立つ。

「んーまぁ…練習試合頑張ってな。俺はその日行けんし」
「…他には?」

簡単に済ませようとするから、他になにか無いか聞いた。
でも、何もないと光輝君は笑う。

つられて、皆も笑う。

「じゃ、終わり!今日の練習はここまで」

今日も…長い一日が終わった。

正式には終わってないけど…。
家帰ってから…勉強…。

するわけねーよな。

一応受験生だけど…就職するつもりだし。

まずは…目の前の事で精一杯って感じ。
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