キミがいれば
俺は荷物をまとめて玄関へと向かった。

でも、すぐに足を止める事になる。

「雅也…」

後ろに振り向いた先には俺の憧れの人。

「どーした?光輝君…」

光輝君はいつもの元気はなく、下に視線を落としてこちらを見ようとしない。
そんな態度に違和感を持った。

「光輝君?なんかあった?元気ないけど…」
「お前は、さっきの見てなんとも思わなったか?」

さっきの事?
なんのことかわからなくて、数分前の出来事を頭の中で巻き戻しする。

あー…。
わかった。
美奈のことね…。

「マネの子と知り合いなんだろ?」

俺は下駄箱から外履きを取り出しながら言う。

「うん…」
「別に無理に言わなくていいよ。言いたくなったらまた教えてよ」

俺は光輝君を見つめ、頬を緩ませた。

「ありがとな…」
「なんも~。てか、頭大丈夫か?無理してないか?」
「お前は俺の母親か!」

いつも通りの笑顔の光輝君に戻って、安心した。

やっぱ、光輝君は笑顔が一番似合ってるよ…。
だから…ずっと…笑っててよ…。
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