キミがいれば
光輝君は三年前、ここから遠く離れた所で勤務していたらしい。

バスケが上手いと評判だったため、中学の女子バスケ部のコーチをしてくれないかと頼まれた。
その誘いを受け入れ、中学校に通うことになった。

そこの学校で美奈と出会った。

美奈は最初は心を閉ざしていたものの、だんだん話していくうちに距離が縮まっていった。

光輝君は美奈のこと、「妹」みたいにしか思っていなかったようで。

しかし、美奈は光輝君に好意を抱いていた。

分かっていたけど、知らないふりをしていた。

コーチになってから1年後。

転勤先が地元になった。

何も言わず、別れも告げず、地元に帰った。

それから、俺等のコーチになった。

そして、今日。

美奈と再会した。

いきなりの事だったから動揺した。

美奈は「なんで?」って泣いていたけど、特に理由もないし、わざわざ「さよなら」なんか言わなくてもいいと思っていたから。

仕事先が変わると同時にケータイの番号もアドも変えた。

だから、美奈との連絡は一切ない。

というか、わざと連絡先を伝えなかった。

正直面倒くさかったから。




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