キミがいれば
再びケータイに目をやると、不在着信が3件。
全て、新太郎から。

俺は謝りの電話を掛けた。

プルルルル…。

「はい」

三回目のコールで受話器越しに新太郎の声が聞こえた。

「もしもし!新太郎?」
「おい!雅也!何してんだよ?」
「わりィ~。昨日光輝君ん家に泊まってて…」
「だから、寝坊したと?」
「…はい」
「もう相手来てるし、早く来い!」
「わかった」

一方的に通話ボタンを押し、電話を切った。

急いでしたくをする。

てか、光輝君どこ行ったんだよ!

荷物をまとめ、一回に降り、光輝君の名を呼ぶ。

「光輝君~?」
「起きたの?雅也君」

返事をしたのは光輝君ではなく、お母さんだった。

「光輝なら、仕事に行ったわよ。練習頑張れって伝えとけって言ってたわよ」

お母さんはニッコリ笑う。
俺は笑ってる場合じゃないんですよお母さん。

「あの、一昨日から、ありがとうございました!」

俺は元気よく礼を言い、頭を下げた。

「いいのよ~。また来てね」
「はい」

お母さんに背を向け、玄関まで走っていく。
靴を履いて、ひもを結ぶ間もなく外にでた。

そっからは全力疾走。
練習で体力持つかな…と不安になりながらも足を止めることはなかった。
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