キミがいれば
練習前からあんなに走った体はあちこちが痛いと悲鳴を上げている。

それでも俺はコートに立った。

後半が始まる合図のピーという音が体育館に鳴り響く。

「よし!行くぞ!」

気合を入れ、部員たちと心を一つにした。


スローインから、投げ出されたボールを俺は、一目散に取りに行った。

一定のリズムを保つドリブルで、一人、また一人と巧みにかわしていく。

ゴールに近づくにつれ、固くなっていくディフェンス。

俺は、シュート体制を構え、シュートするかと見せかけ、隣の新太郎にパスをした。

新太郎は俺の動きを読み取り、綺麗なフォームで1ゴール決めた。


やっぱ…バスケ、楽しいな…。
辞めたくねーよ。

俺は、楽しくって楽しくって。
何点入れたとか、新技とか。

印象的だったシーンさえ、記憶になかった。

それだけ、集中してたってことだよな?

「ありがとうございました!」

無事、怪我なく終えた試合の結果。

64-35
で、見事黒星を収めた。






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