キミがいれば
「今日、練習試合だったんでしょ?」

話題を変える先生。

それに釣られて、質問に問う俺。

「そうですよー。だから、疲れてんすよ!」

密かに、早く帰りたいんだアピールをしているつもりだが、先生は全くお構いなしで話を続ける。

「勝ったの?」
「うん!圧勝で!」

俺は白い歯をのぞかせて笑った。

「よかったわね」

急に大人のお姉さんみたくな、口調になる先生。

なんだよ…いきなり。

一瞬にして表情を変化させる先生にドキッとする。

先生は凛とした顔で俺を見つめてくる。


俺はその状況に耐えられず、先生から視線を背けた。


なんで、ドキッとしたんだよ!俺!

頭が混乱していくと共に、顔が火照って行くのがわかる。

…この人といると、調子狂うわ…。


「先生ね!ここの学校出身なのよ?」

一度背けてしまった視線を先生に戻す。
先生も…?

“も”というのは、光輝君もここの学校出身だからだ。
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