Your Voice -同じ青空の下で-
呼び起こされる才能
楓香side
ぼやけた視界がだんだんとはっきりしてくる。着ていた服は汗でぐっしょり濡れていた。
「あ!!起きた!!楓香大丈夫?」
遥くんが今にも泣きそうな顔で私を見つめている。
「えっ、あ、うん。大丈夫だから心配しないで?」
「僕、愁達呼んでくる!!」
そう言って、遥くんは部屋を出て行っちゃった。
1人になった部屋で私は、窓から見える空を眺めていた。
「“歌うことを恐るな”か───」
夢の中で恭は確かにそう言っていた。
本当に私は歌っていいの?
本当に恭はそれを望んでいるの?
あの夢は何を意味しているのだろうか…?