Your Voice -同じ青空の下で-



私は、一度外したヘッドホンをもう一度付け直して、音楽室足を向けた。


自分の弾くギターのメロディーと、ヘッドホンから流れる音楽に合わせて口をパクパクさせてみるが、なかなか声が出ない。


「喋るときは普通に出るのにな…」


ポツリと1人虚しく呟いていると、


“ピンポンパンポーン…。えー、2年C組の早川楓香さん。1分間に生徒会室に来てください。では”


私の頭の中の思考が停止する。


遥くんのドスの効いた声が聞こえた気がした。しかも1分って…。


1つため息をつき、ギターを片付けてから私は生徒会室に向かった。


中に入ると、Flashのメンバーが勢ぞろいしていた。


「みんな集まって、どーしたの?」


悠さんが1枚の紙を差し出した。


「これに、サインしてもらおうと思って」


その紙には契約書と書かれた私が生徒会役員になることが載せてあり、最後に私は署名する場所があった。


「書記ってどんな仕事するの?」


私がそう聞くと悠さんは3、4枚のプリントをホチキスで留めたもの私に渡した。


「ここに全部載ってるよ。あと1年間の予定表もあるから見ておいてね」


「分かった。見ておくね」


そうみんなに告げると私は生徒会室を出た。


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