指先から伝えて


そんな私をみてさらに抱きしめる力を強めた。


「からかわないで下さい」


「俺はいつでも本気ですが」


「はい?これのどこが…」



「好きなんですよ。…分かってるくせに」



拗ねたような言葉とともに彼の唇に塞がれる、私のソレ。



ゆっくり離れた彼のソレは、ゆるりとした孤を描いていた。



…やっぱり私も素直になろうか。


暴れる心臓を押さえつけて彼を見上げる。



「知りませんでしたよ」


本当に。私だけ、私だけが…



「私ばっかり、いつもドキドキしてると思ってました」



その言葉にふっと笑った彼は、



「なわけないだろ」


私の手をとって彼の左胸にもっていった。



< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop