きすはぐあまこい
ちらっと、もう一度沢木くんの様子を盗み見る。
相変わらず右頬と鼻の泥に本人は気づいてない様子で、あくびをしている姿が胸をくすぐる。
ふと、鼻から視線を下に移すとそこには綺麗な唇があった。
…そうだ。そうだった!!
わ、わたし、この超絶綺麗な唇と―…!
………ボンッ!!!
「ふあ…?はすだ、しゃん…?」
「―…!」
眠たそうに目を擦る沢木くんの声は届かない。
折角の沢木くんの呼びかけに応じないなんて普段の自分なら叱ってやりたいところだけど、それほどまでにわたしは緊張していた。
ドクンドクンドクンドクン―……