きすはぐあまこい
授業の内容なんて当然右から左へと抜けていくだけで、ただただ時間は過ぎていった。
そして、それはついにやって来てしまった。
国原の足音とともに―…。
「おい、瑞奈」
「ふぇ?」
のろのろと心此処にあらずの状態で帰りの支度をしていたわたしの返事は何ともマヌケなものだった。
「行くぞ」
それを特に突っ込まずに国原は教室を出るように指示する。
「え?行くって…。というか国原、部活はどうしたの?」
国原はこう見えてバスケ部に所属している。
しかもちゃっかりレギュラーなんてとっちゃったりしているのが、憎らしいところ。
「だから急いでるんだっつーの!ほれ、荷物」
そう言って国原はわたしから鞄を奪って、肩には自分のエナメル、そして軽々とわたしのそれももう片方の肩に掛けた。