きすはぐあまこい
「次のコンクールに応募したいって、思ってる。だから、出来れば早めに返事をもらえるとこっちとしては嬉しいかな。…検討しといて?」
「は、はあ…」
ついそんな返事になってしまいながらも、ふと思う。
「…でも、わたしなんかでいいの?その…コンクール?に出すんでしょ?」
どの程度のコンクールなのかはわからない。
わからないけど、きっとコンクールっていうからには賞がある。
もし、モデルのわたしが悪い所為で沢木くんが賞をとれないようなことがあったら―…
「蓮田さんにしか出来ないことなんだよ」
沢木くんは静かにそう言った。
「蓮田さんがもし、断るようだったら俺は多分夕日と他の誰か、という風に組み合わせを変えたりしない。"この美術室の窓から夕日を眺める蓮田さん"を描きたいんだ。蓮田さんしか当てはまらないんだよ」
その言葉にどうしようもないくらい胸を焦がしてしまった。
身体の中心部が焼けるように熱くなった。