きすはぐあまこい
わたしはもう一度、窓の方に目を向けた。
「あれはすっげぇよな。ほんと」
国原の声が後ろでする。
確かに国原に頷いてしまうほどだった。
グラウンドの真ん中にそびえ立つ巨大なそれは砂で出来た、あのマヨネーズについてるキャラクター。
お尻の曲線美といい、あの特殊な頭の形をとっても完璧なその像。
そして、その下でスコップを手に汗を拭う男子。
彼こそがこのクラスの問題児であった。
沢木 歩夢(あゆむ)くん。
ハニーブラウン色の猫っ毛と、片方だけ入っている灰色のカラコンが印象的だった。
それらはとても彼に似合っていて、彼の抜群のルックスをさらに格上げしていた。
いわゆるモテ男として有名な彼だが、実はこの学校一のアーティストでもある。
それはお偉いさんを呼び寄せちゃうくらいで、彼の芸術的センスにはこうやって全校して毎度圧倒させられる。