きすはぐあまこい
ふと、蓮田さんの顔が脳裏に浮かぶ。
ウインナーを口からはみだした姿。
それから、昨日夕焼けを見つめていたあの横顔。
あれほど、描きたいという衝動に駆られたものは果たして今までにあっただろうか?
でも一番最後に行き着くのは―…
"お疲れ様"
いつもの一言と、その時の彼女の笑顔だった。
「……」
ぎゅっと胸を鷲掴みされたような気持ち。
苦しいはずなのに、それは愛くるしかった。
「…お前もそんな顔するんだな。……俺と絢さんが企てた作戦の甲斐か?」
笑みを零す国原は随分余裕そうに見えた。
多分今、同じ表情をしろと言われても出来ないと思う。