きすはぐあまこい
急に国原は笑うのをやめた。
そして、真剣な眼差しで僕を射る。
「あんま、人の恋路に口を挟むのはよくねぇかもしんねぇけど、これだけは言わせてくれ」
頼むな?と付け足した国原に思わず頷いてしまう。
「瑞奈とは同い年だけど、妹みたいな存在なんだよ。てか、実際俺と絢さんの明るい未来がやって来た時に本当に義妹になるんだけどな?ははっ」
それから一息ついて、また真剣な面持ちで僕を見た。
「…瑞奈のとこ、行ってやってくれ。多分、あいつ今一人だと思う。行って、お前が思ってること、ゆっくり時間掛けて話してやってくれ。…な?」
本当は自分でものを考えて行動しなければいけないってわかってるのに、この初めての気持ちに戸惑ってる自分がいる。
だから、こうやって道を明るく照らしてくれた、バッ!と面倒くさいことを薙ぎ払ってくれた国原に感謝をした。
「……ありがとう」
素直にそうお礼を述べて、はやる気持ちで出て行こうとした僕を国原がちょっと待てと引き留めた。
「最後に+α(プラスアルファ)だ」
そう言った国原は教室で見る顔に戻っていた。