きすはぐあまこい
「思い出した?」
「うん…」
「改めて、お願いしたいんだ。やっぱりキミを描きたい」
向けられたのは沢木くんのまっすぐな瞳。
さっきの甘い顔なんてどこにいったのやら。すっかり彼は芸術家だった。
ごくんと、唾をのむ。
「わ、わたしこそお願いします!」
やっぱりおこがましいと思い躊躇したけど、そんな時に思い出したのは沢木くんの言葉。
"蓮田さんしか当てはまらないんだよ"
こんな光栄なこと、断る理由がない。
「ありがとう。放課後とか、これから付き合ってもらうけど覚悟しておいてね?」
「うん。精一杯がんばる!」
沢木くんと一緒なら大丈夫な気がする。
ずっと。これから先も。