桜舞い散る夢綴り
………隙が無い。
俺が今向かい合っている相手はあの沖田総司。
殺気が心地よく、久々に本気を出せるかもしれない相手。
表情は変わらないが、心の中ではこの状況を試合を楽しんでいる自分がいる。
しびれを切らしたのか沖田さんが動く。
振り被った木刀を片手で持った木刀で受け止める。
かなり驚いているのが分かる。
そりゃあ、自分より小さくて腕も細い人に止められれば驚くわな。
今度はこちらから斬りかかる。
受け止めては打ち込んで、というのを繰り返す。
「何で本気を出さないんですか。風宮さん?」
「相手が出して無いのに出すわけ無いでしょうよ。」
俺は沖田さんを押し返して間合いを取る。
「なんか飽きた。」ボソッ
沖田さんが聞いていたらしくて、殺気が今までとは比べものにならないくらいになった。
沖田さんが打ち込んで来るが、
「……速くなりましたね?これで本気なんだ。」
俺は受け止めて流す。
沖田さんの構えが変わり、何かが来る。
すると一度の踏み込みで三度の突きが繰り出された。
そう、三段突きである。
「………遅。」
三段の突きを、一段目はかわして、二段目はいなす。そして三段目は、そのまま木刀ごと叩き落とした。
沖田さんの手から木刀が離れて、俺は沖田さんの首筋に木刀をあてる。
「はい、終わり。」
「し、勝者 風宮!」
永倉さんの声で試合が終わる。