桜舞い散る夢綴り
沖田さんに引っ張られて入った部屋には、


「どうした?総司。」


一見厳ついが、優しそうでお人好しだと思わせるような男がそこにいた。
どうやらこの人が近藤さんらしい。


「近藤さん!新入隊士を連れて来たんです!!この人は僕に勝ったんですよ!?」

「……………うえっ!」


俺は、また首根っこをつかまれ無理矢理引っ張られたものだから、吐き気がまたもよおして来ちゃったらしく吐きそうになった。


「総司。苦しそうだし離してあげなさい。



それで君の名前は?」


沖田さんの拘束が解かれた俺はしばらく俯いて吐き気を抑えていたら、今度は眼鏡をかけた人が背中をさすってくれた。


「…………風宮優希です。」

なんとか自分の名前を言うことができた。


「では風宮君。総司に勝ったと聞いたが本当かい?」

「………はあ。一応は。」

曖昧な返事をしてしまったが、近藤さんは俺の言葉を聞いて驚いていた。

「トシ。この子の配属はどうするか決めたかい?」

「近藤さん。正直なところ俺はこの野郎が入隊するのは反対だ。
まだ幼い上にこんなにも弱そう「テメェはまだそんなこと言ってんのか?」……は?」


こいつは人の実力を見た後でもまだいうのか。



殺気立っていた俺は土方を睨む。




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