sleepy princess and arouse prince
「ハイド!?」
「情けない奴。‥早く殺せよ?」
「‥嫌だ。俺はもう人が死ぬところを見たくない」
「‥相変わらずヘタレだな、本当に」
そっとハイドは手を離し、白梅の刃は鞘に収めた。
長い戦いは小さく音を沈めた。
「リュウ!!!」
ふらつきながら後ろを向くと、アルルシスが思いっきり抱きしめてきた。
ラサレナとエルビスの視線が痛い。
俺は彼女の頭を軽く撫でて、礼を呟く。
やっと、終わったんだ‥。
「ゴホッ‥一刻も早く治療をしなければ命が持ちませんよ」
「カイト!!大丈夫なのか!?」
咳き込むカイトを支える。
皆、傷は酷いが、彼が一番辛いはず。
今は休むことが重要だ。
だが、この森の中で何が出来る?
「私よりあの彼女、持病を抱えてますよ」
「本当なのか、ハイド!?」
「…そうだよ。俺と同じ病気を持ってる」
カイトは真剣そうに俺に伝える。
ハイドも持っている病気。
それは血液の病気だった。
急いでジキルに近寄り、脈を測る。
遅くわずかながら脈を打つ血管。
俺のせいで、彼女を苦しませている。
すると、
「アルルシス?」
「こうゆうことって私の役目でしょ?」
そう笑顔で彼女は術を唱え始めた。