sleepy princess and arouse prince
震える彼女の両手。
唱えている口元まで震えている。
どこまで無理をしようとしているんだ?
もう倒れる寸前だろうに。

俺は頑張っているアルルシスを支え、見守った。
ジキルの腹部は徐々に止血していく。

「アルル?もう無理ならいいんだからな」

「‥大丈夫よ」

「そっか」

ラサレナはアルルシスの頭を撫でながら心配そうに励ます。
すると、ふと手のひらから光が消えた。
これは一体…

「アルルシスには負担すぎた。体が訴えていますよ」

「わ、私、まだ平気なのに‥」

崩れるようにアルルシスは涙を零した。
体が言うこと聞かない。ただそれだけなのに。

彼女の中の魔力は尽きた。
長時間休まないと使えない。
カイトはそう言って、ジキルを抱え上げた。

「カイト!?」

「‥黙ってて下さい。ハイド、力残ってますよね?」

「あ、あぁ!!」

彼の行動が理解できない。
カイトは呪文を唱え始め、ジキルは呪文によって中に浮かぶ。
そしてハイドは何かを唱え始めた。

「準備は出来ましたね、行きますよ」

カイトは紋章を表し、ジキルの体内から黒い液体が溢れてきた。
同様にハイドも。
これが持病なのか?

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