sleepy princess and arouse prince
進む度、タイルの床はコンクリート状に変わっていた。
周りもちゃんと窓がついている。
すると、いつしか巨大な扉の目の前に居た。
気になる。
そっと近寄って中を覗いた。
まず目に入ったのは、黒いドレスに身を包む化粧の濃い女性だった。
「鏡よ、鏡よ。世界で美しいのは誰だい?」
女性は壁に掛けてある、大きな鏡に話し掛ける。
全てを見透かすような鏡。
俺はふと、頭を過ぎった。
「それは、白雪姫ですよ」
鏡の中から、銀色の短髪の綺麗な男性が現れた。
彼の口から、白雪姫の言葉。
やはり彼女は、王妃様だ。
王妃はその男性に近付くと、長い爪で綺麗な顔に触れる。
「ミラーシュ、言葉に気をつけなさい」
「相変わらず怖い人ですね。美人なんだから、ね?」
「白雪姫さえ居なければいいのよ‥」
男性は王妃と何度も唇を重ねる。
彼女はボソッと白雪姫の名前を口にする。
何故、白雪姫を殺そうとするんだ?
俺は扉から手を引いた。
「‥ミラーシュ」
「分かってますよ。私に任せて」