sleepy princess and arouse prince

ガラスの棺桶に華が


城から歩いては日が堕ちてゆく。
人は森に近づいていく度、気配がない。

俺は外れた森の中へ足を踏み出しては、白雪姫のところへ戻った。

だが、少しの時間しか離れていないのに白雪姫は棺桶に寝かされていた。
それも体中を華で埋め尽くすように。
子人たちの瞳にには涙が流れていた。

「白雪姫‥?」

崩れ落ちるように俺は白雪姫の手を握った。
ふわっと華が舞い落ちる。
白い肌に浮かぶ赤い唇はほんのり紫色架かっていた。

子人たちはせめてガラスの棺桶に、と言って作ったらしい。
最後のガラスの蓋を俺が付けた。

このままでいいのか?
俺は白雪姫を放置するのか?

ぐっと右手を握り締めた。
ただ手のひらに汗が滲む。
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