sleepy princess and arouse prince
初めてこんな不安を味わった。
刻々と時は俺を焦らせるように経過していった。

白梅。
所謂、この世界の王子の名前。
それを授けられた自分はどうすればいい?

俺は舌打ちをしながら小屋の外を出た。
こつん、こつん、と背後から馬が駆け寄る音が静かに響いた。

「すみません」

控えめの口調。
後ろを振り返ると綺麗な青年が白馬に跨っていた。

「あんたは‥」

「エルビスと申します」

エルビス。
白色の靡く少し長い髪。
俺を上から見下ろす金色の瞳。
いかにも見た目からは王子とは言えないものだった。
だか、彼の腰には白梅と似た剣がぶら下がっていた。
< 23 / 117 >

この作品をシェア

pagetop