sleepy princess and arouse prince
ふと、我に返り焦る。
その姿を見た王妃は笑っていた。

「ところで王妃様、何故このような森に?」

「‥気分転換よ。ちゃんと兵も居るわ」

いきなりエルビスは思い出したように尋ねた。
言われてみれば確かに。
王妃は一度、変装をしてまでこの森に来ている。
もしかして、白雪姫の様子を見に来たんじゃ‥

「難しい顔しないで」

「‥すみません」

「リュウ?」

すると、王妃は俺の頬に触れ、そう呟いた。
勝手に頭の中に残る恐怖が声に表れる。
エルビスは首を傾げて見つめていた。

「どうせ城に行くなら招待するわ」

「えっ本当ですか?お言葉に甘えさせて頂きます」

「じゃ行きましょうか」

と、話が進んでしまいあのお城へ行くことになった。
正直、王妃に会う為に行くというのに、張本人に招待された。
全くもって予想がつかない。
白馬にエルビスはまたがり、王妃は俺と馬車に乗っていた。
馬車の中はとても豪華で、上手く息を吸えない。

「王妃様、もうすぐお城に到着します」

馬に繋がるひもを引いている兵が小さな窓から知らせた。
俺はひと安心した。
王妃は今ひとつ笑みを崩さない。

「ようこそ、エルビス公」

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