sleepy princess and arouse prince
裏世界の独奏
お城の正門前にはずらっと、メイドや執事がお辞儀をしていた。
勿論、王妃の周りには強そうな兵士が囲っている。
俺はエルビスの後ろに隠れるように歩いた。
「王妃様、お帰りなさい」
すると、扉の中に入った先に大きなシャンデリアが目に映る。
建物に入った途端、王妃を囲む兵たちが居なくなっていた。
その代わり、美男の執事と幼い少女が現れた。
「あらカナリアとヴェルト。王は?」
「主でしたら王宮に居ますよ。エルビス様、ようこそ」
と、執事は幼い少女を片腕に座らせ、王妃が通り過ぎるのを待っていた。
「エルビス、さっきのは‥?」
「カナリア嬢のことかい?」
「あぁ。それとあの執事‥」
なんとなくエルビスに質問をしてみた。
エルビスなら分かるだろう。そう思った。
だが、そんな回答を聞こうとした時、王妃の姿が消えたのだ。
「ど、どうすんだよ!?」
「これは正直、困ったなぁ‥」
何故か、互いに城の内部を知らない為、迷子になった。
俺は一部だけなら知っているが、そことはまた別。
どうしたらいいか、考える余裕もなかった。