sleepy princess and arouse prince
「こちらが王宮です。エルビス様のみお通り下さい」
「どうしてだい?ヴェルト」
「ご安心下さい。後から入りますから‥。カナリア嬢お願いしますね」
そう言ってカナリア嬢とエルビスは扉の中へ入っていった。
残っているのは俺と執事。
不安が押し寄せてくる。
俺は執事に連れられ別の部屋へ案内された。
「貴方、初めて見ますね。名前は?」
「‥龍だ」
「ほぅ。‥変わった方だ」
中に入ると、椅子に座らせられた。
執事は眼鏡を外し、細い瞳で見つめてきた。
名前を聞いた直後、いきなり顔を近付けてきて、服を掴まれた。
待て‥待てよ、これ。俺、襲われてんの?
怖くなってきて執事の腕を振り払った。
「大丈夫ですよ。襲いません。君‥白梅なんですね」
と、にこっと微笑み腰にぶら下がる白梅を指差した。
白梅っていうけど、この城の秘宝なはず。
本当に王妃には知られてないんだな‥。
俺は執事に言われて、初めて白梅を鞘から抜いた。