sleepy princess and arouse prince
「初めてお会いする方々は驚くんですよ。」

それには同意しょう。
俺は国王の握手に答えながら思った。
すると、エルビスがなるべく話を済ませ、白雪のところに戻ろう。そう言ってきた。
王妃も居ないことだしな‥

「いきなりですが、国王は白雪姫をご存知ですか?」

この言葉の後には沈黙が続いた。
正直、焦った。
だが、彼は口を開こうとしない。

「国王‥?」

エルビスが無防備に国王に近づいた。
俺は気付くのが遅かったようだ。

「白雪は愛娘。忘れる訳ないですよ。」

彼の話に夢中になりすぎて、周りは兵隊に囲まれていた。
冷や汗が背中を通る。
国王はにこやかに忘れないと答える。
じゃあ、兵隊が向けてくる無数の槍をどうにかしろ。
俺はエルビスを後ろに白梅を握った。
兵が一歩踏み出した途端、鞘から一瞬で引き抜く。

「いけ」

国王の合図した瞬間、刃が襲い掛かった。
数本の槍をかわすことすら無謀にすぎない。
‥分かっていたんだ。
無理なことは無理。
反射していく刃たちが避けきれなくなっていた。

「あぁ‥なんてことだ。可哀想に。」

俺らは立ち尽くしていた。
目の前には赤い長髪を靡かず若い男性が立っていた。
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