sleepy princess and arouse prince
「で、何故俺を捜していた?」
     .
「無論、鍵ですから。」

カイトが言ったことの意味が分からない。
鍵ってよく、物語の展開出来やすくするために現れる登場人物だよな。
個人的にカイトがそうだと思っていた。
俺は何が起こるのか予想も困難だ。
エルビスは心配そうに顔を覗いてくる。

「お願いです。一刻も早く白雪姫を目覚めさせて下さい。」

勢いよくカイトが俺の両肩を握り締める。
発音から慌てている様に感じる。
だから俺には‥
カイトを振り払って頭を抱えた。
エルビスは俺に近寄って体を支える。
出来るならあの時に目覚めて欲しかった。

「お願いです。貴方にし「もういいだろ!?」

いきなりエルビスがカイトに怒鳴った。
あまりに突然すぎて言葉が出ない。
すると、エルビスは俺から離れたカイトの襟を掴んだ。

「鍵だからかもしれないけど、お前は何を知っている?」

「ご想像にお任せします。」

「答えろ!!」

エルビスが大声を出すと辺りは静まり返った。
カイトは仕方ありません、と右手の黒い手袋をゆっくり外した。
そのまま瞳を閉じ、王宮の床全体に呪文のような光の模様が浮かび上がる。

「有り得ない‥!」

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