sleepy princess and arouse prince
俺は思いっきり怒鳴りつけた。
だが、カイトからは返事が返ってこない。
強く握っていたカイトの右手が緩み、俺を自分に引き寄せてる。
「もう一度、申し上げます。白雪姫を救えるのは貴方だけです。」
瞳からどうしていいか分からないのを訴える。
悲しくもないのに涙が溢れそうになっていた。
圧倒的にカイトの握力を受け、肩に痛みが伝わる。
けど、何より胸が痛い。
俺に出来るわけない。
なのにどうして俺なんだ‥?
カイトの握る手を払って泉から出た。
ふわっと体が浮かぶ感触がして、今にも倒れそうだ。
すると、体から大量に吸った水を流してカイトも同様に泉から出た。
「カイト‥白雪を目覚めさすぞ。」
「‥はい。貴方なら必ず成功して下さるでしょう。」
黒い手袋を付けたまま両手を地に触れた。
呪文のようなのを唱え、王宮と同じように紋章が浮かび上がった。
「何かありましたら泉にお戻り下さい。森の中なので。」
「‥あぁ。」
注意事項を聞いて、カイトの合図と共に俺は紋章の上に立った。
もう決めたんだ。
めそめそしてるより白雪を救うのが目的だ。
君を目覚めさせる為に。
「これで良いんですよ。ね、国王?」
「……」