sleepy princess and arouse prince
宿した甘い口付け
「痛っ…。」
カイトの呪文によって飛ばされた場所。
そこはあの小屋の目の前だったんだ。
恐る恐る小屋のドアの取っ手を掴む。
火葬はされていないことを祈りつつドアを開いた。
中には子人の影も白雪の姿もなかった。
無論、ガラスの棺桶もない。
俺は慌てて小屋中を探した。
やはり遅かっただろう?
一度、小屋の外に出ることにした。
ギィィィッ
小屋のドアから古さを感じる。
まぁ‥そんなことはどうでもいいし。
小屋の裏にある森へ歩き始めた。
森の中は闇に飲み込まれていて気が重い。
一歩踏み出す度、酸素がなくなる気がして‥まるで森に生気を吸われている感覚だ。
「リュウ!!」
ふと、声のする方へ目を向けた。
そこにはエルビスが立っていたのだ。
俺はすぐさまエルビスにかけ寄り安全を確認した。
特に異常はなかったが、疲れているようだった。
「そういえばエルビスはどうしてここに?」
「気付いた時には森の中に居てさ‥。困ったよ。」
「…そっか。」
エルビスは苦笑いをしつつ、照れくさそうに頭を掻いた。